産科医がみた世界の素顔・1
新中国,特に教育および医療とその背景(1)
品川 信良
1,2
1弘前大学医学部産科婦人科学教室
2弘前大学医学部産科婦人科学教室医療技術短期大学部専攻科
pp.48-57
発行日 1977年1月25日
Published Date 1977/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205158
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第1章 序論
1.はじめに
現在のわが国は,中米ソの3大国の,いわば谷間に在る。それなのに私たち日本人は,米ソ両国のことについては,かなり詳しく知りもし,また研究もしているが,もう1つの大国,中華人民共和国(以下「中国」)については,あまりにも知らなさすぎる。また知りたくても知る機会が,戦後はあまりにも乏しかった。その最大の理由が,日中両国間に平和友好条約がまだ締結されていないためであることは,いうまでもない。しかしこのほか,中国とその人民を,蔑視とまではいかなくても,「できるだけ重視しまい,できることなら無視してゆきたい」というような気持ちが,多くの日本人の心のどこかに働いているとしたら,これはたいへんなことである。アメリカの中国に対する「封じこめ政策」に長い間追随せざるを得なかったためとはいえ,そういう気持ちの日本人がまだいるとしたら,それこそ遺憾千万なことである。
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