研究・調査・報告
出産の費用に関する調査研究
斉藤 益子
1
,
前田 信雄
2
1県立宮崎病院
2国立公衆衛生院衛生行政学部・社会保障室
pp.155-163
発行日 1977年3月25日
Published Date 1977/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205175
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1.はじめに
施設内分娩が100%に近くなっている今日,産科学の進歩に伴って新しい診断技術や医療機器を導入した妊婦管理が行なわれるようになってきた。しかしその結果,妊婦の経済的負担も大きくなってきている。加藤ら1)は,1976年に行なった調査の中で,出産に要する費用は初産で20万円,経産で15万円であり,それらの費用の家計におよぼす影響の大きいことを指摘している。
現在,妊娠は病気ではないとの考えのもとに,費用の支払いは全くといってよいほど個人の責任にゆだねられている。そして,これらの費用は地域や出産施設により,かなりの差がある現状である。出産に要する費用はかなりの金額であるが,それが"おめでた"であることから,支払うほうもどうにかやりくりしているともいえる。母子保健にかかわる専門職は,この問題の実態をよく認識しておく必要があり,それは今後保健指導を行なっていく上においても重要なことである。
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