母子衛生統計
乳児死亡(2)
中原 俊隆
1
1厚生省児童家庭局母子衛生課
pp.375
発行日 1976年6月25日
Published Date 1976/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205058
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乳児の死亡の原因
年次別にみた乳児の死因順位を,図1に示す。乳児の死因の選び方については,昭和42年までは,一般の死亡と同じ分類表を適用していたが,昭和43年の「疾病,傷害および死因統計分類」の改正を機に,当時の厚生省大臣官房統計調査部(現在の統計情報部)において,乳児簡単分類表(S)を定め,乳児固有のものを用いることとなった。図1は,この表に従ったものである。
乳児の死亡の原因は,先天的なものと後天的なものに大きくわけられる。生後まもなくは,環境に対する適応性が弱く,また,妊娠,分娩からの影響もあり,不安定な時期である。このため,4週未満の新生児死亡,とくに1週未満の早期新生児死亡は先天的な要因によることが多い。これに反し,生存期間が比較的長くなると,細菌感染とか不慮の事故など後天的な原因による死亡が多くなる。これについては,抗生物質の発達,普及,公衆衛生の向上などにより,その防止が比較的容易となっており,わが国の乳児死亡率の改善も,この時期のものから始まったのである。
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