特集 授乳指導を総括する
倉敷中央病院における授乳指導の徹底とその効果
川西 寿美子
1
,
嶋田 礼子
1
,
近藤 義子
1
,
片山 時恵
1
,
藤原 正子
1
,
三島 美津子
1
,
岡原 邦江
1
,
岡辺 千菊
1
,
徳善 加寿代
1
,
中原 伊津子
1
,
藤浪 勢津子
1
,
本山 末子
1
,
米田 照代
1
,
三宅 得恵
1
,
山本 加代子
1
,
今井 二三子
1
,
京下 君江
1
,
福元 京子
1
,
貝原 良枝
1
,
村上 晶子
1
,
丸野 幸子
1
,
中見 ひとみ
1
,
山崎 静江
1
1倉敷中央病院産科
pp.152-157
発行日 1975年3月25日
Published Date 1975/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611204834
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1.はじめに
「新生児,乳児にとって母乳はもっとも良い栄養である」ことは漠然と判っていながら,いざその根拠を示せと言われると,従来は乳児死亡率の差について(入工栄養児の死亡率は母乳栄養児の4〜6倍である)ということぐらいで,「なるべく母乳で育てましょう」と説得する私たちの舌鋒もにぶりがちであった。
一方では,逐次改良を重ねた育児用粉乳が普及し,私たちは時間の節約と母親を安心させる意味もあって,生後まもなくから粉乳を補足していたが,それが乳頭へ吸暖刺激を与える機会をうばい,結局,母乳の分泌を低下させていたわけである。これに加えて,近代社会における繁忙と過度の精神緊張による母乳分泌機能の低下,職業をもつ女性の増加が,さらに母乳栄養率の低下の原因となっていたものと推測される。しかし,最近母乳の免疫学的研究の進歩により,はっきりと母乳が入工栄養よりも優れている根拠が示された。すなわち,母乳に含まれるIgAとラクトフェリンのもつ免疫学的作用である。当院産科において,従来,母乳栄養確立のための努力が不十分であったことを反省し,以下述べる調査研究を行なった結果,現在では100%母乳栄養とすることができた。この間の授乳指導と私たちの対策を段階を追って述べてみたい。
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