特集 一般医のためのエコー活用法
Ⅲ.心臓
心エコーの適応(と他のモダリティ)
心雑音
神吉 秀明
1
1さいたま市立病院循環器科
pp.58-62
発行日 2007年11月30日
Published Date 2007/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402103044
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まず考えるべきこと―心エコーの前にしっかりと身体所見をとる!
心エコー法は,心雑音を聴取する症例に対して簡単かつ無侵襲に行うことができ,確定診断に導いてくれる優れた検査である.心雑音の原因となる器質的心疾患の有無だけでなく,経過観察から手術適応まで,その後の治療方針を決定できる情報をも与えてくれる.しかし,漫然としたスクリーニング的な観察では,細かな変化・異常を見落としてしまうこともあるため,心エコーを行う際には主にどこを観察すべきなのか,何を疑って検査をするのか,明らかにしておくことが望ましい.そのためには,心雑音の性状のみならず,心電図所見や胸部X線写真所見など,心雑音以外の臨床所見の情報も集めてから,心エコーを行うべきである.
収縮期雑音を例にとると,教科書にはおのおのの鑑別方法が載っているが,実際のところは大動脈狭窄症の収縮期雑音なのか,僧帽弁あるいは三尖弁閉鎖不全の逆流性雑音なのか,それとも閉塞性肥大型心筋症の駆出性雑音なのか,迷うこともしばしばあるだろう.そこで,心電図の左室肥大の有無や心陰影の拡大の有無,頸動脈の立ち上がりのパターンなども診断の手掛かりとなり,心エコーを始める前の重要な情報となる.心エコーさえ行えば,すべて確定診断がつくというものではなく,「診断への補助的手段」として心エコーがあることを忘れてはならない.
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