連載 Medical Scope
頸管縫縮術
島田 信宏
1
1北里大学病院産科
pp.52
発行日 1975年1月25日
Published Date 1975/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611204805
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流産を何回もくり返して,妊娠はするけれど子供をもてないという女性が諸君たちのところへ相談にみえることがあるでしょう。流産にはいろいろの原因があるものですが,そのうちに頸管無力症cervical atonyというのがあるのを知っていることと思います。一口にいってしまうと,普通,子宮口は流産しないように閉じているのですが,子宮頸管の筋緊張がないために開いていたり,あるいは開きかげんになっているので,妊娠月数が進んで胎児胎盤の重量がかかってくると流産してしまうのがこの頸管無力症なのです。
頸管無力症の流産には一般の流産とは違って非常な特徴があります。そのひとつは流産の時に比較的疼痛を伴わないことです。普通の流産は子宮内容が出てくるために子宮口を開大する時に疼痛を伴うものですが,子宮頸管はもう開大しているので,急にどっと出血して内容が一度に出てしまうという経過をとります。また早産でも,少しずつ腹緊があるぐらいの状態で内診してみると,もう頸管はやわらかく4〜5cmと開大し,胎胞が外子宮口外に出ているといったようになります。
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