特集 '75/助産婦活動のテーゼ
看護哲学の立場よりみた助産婦活動
芝田 不二男
1
1高知女子大学
pp.18-21
発行日 1975年1月25日
Published Date 1975/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611204799
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人間のもつ自然さ—全体性
「看護とは何か」を全体的にしかも根本的なところまで反省することを,私は看護哲学の仕事であると考えている。その全体的とか根本的とかのコトバが何を意味するのかは,この小論で述べる余裕はないので,誠に恐縮ながら,拙著『看護哲学』によって,その概要をご理解いただければ幸いである。ここでは「看護哲学」というコトバを,まわりの風とか流れで,どうにでも変わったりするような考えではなく,もっとしっかりした基本的な考え方をもつことくらいにご理解いただきたいと考えている。そんなしだいで,この小論は,私の看護哲学的立場より助産婦活動を考えてみようというのであるが,私の立場の説明は,必要最少限にとどめて,小論をすすめることにしたい。
私は現在のところ,看護の本質は人間的自然を守ることであり,そのために,個性的リズムをもった患者の生活的自然の自己調整を援助することであると考えている。このような一種の自然主義とでも言うべき立場を,私がとろうとするのは,ただ何となくそう考えたからではない。その背景には,それなりの人間観,生命論の存在することは言うまでもない。
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