今月の言葉
助産婦学院講師の立場から
竹内 繁喜
1,2
1都立築地産院
2都立保健婦助産婦学院
pp.5
発行日 1961年1月1日
Published Date 1961/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202048
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近頃助産婦の払底に加えて,新制度の助産婦学校の入学志望者が少ないため,より程度の低い助産婦学校の設立が盛んに動議されている.これについて,助産婦学院の講師の立場から少しく私見を述べて見たい.まず学院の入学者が少ないということであるが,これは大都市の学院ではそれ程でもないが,地方に行く程ひどいようだ.事実大都市の有名校ではかなり激しい入学競争試験が行なわれている現状を見ても判るだろう.いずれにしても,卒業しても保健婦と違つて看護婦と同じ資格で,同じ給料で就職させられることがその原因というのである.今一つの理由は,私共の学院のように授業料やら食費やらかなり高額の学資を必要とする学院があつて,このことは高い学資を払つて,1年余計に勉強して,それで安い給料では,というので更に敬遠されるようになる.私共の学院で比較的学生が集まるのは都立の産院には助産婦という職種が確立されていることもいくらか原因になつていると思う.
私は程度の低い助産婦学校の設立には賛成しかねる.なんとか入学者をふやす方法を講ずることが先決問題で,それでも駄目だというのなら,問に合わせに低級の学校を作ることも止むを得ないと思う.しかしあくまで一時的のものである.学院の志望者をふやす方法の第一は助産婦という職種の確立であるが,これができなければ低額で学院を修了できる形体にすることである.
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