特集 産科外来を問い直す
産科外来の特殊性と助産婦の位置づけ
田村 南子
1
1日赤医療センター保健指導係母性保健室
pp.374-377
発行日 1974年8月25日
Published Date 1974/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611204727
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妊婦と助産婦の主体性
産科外来とは,言うまでもなく母性の健康診査および保健指導を目的としたところであり,母性,特に妊産婦の健康を保持し増進させ,妊娠・分娩を正常に導くとともに,異常を予防し早期発見して治療を行なうところである。母子保健管理上での単なる一時期とみずに,妊娠・分娩は生理的なものではあるが,わずかなことで異常になりやすく,母体や生まれてくる子どもに重大な結果をもたらすことさえあるので,当面の一家庭での問題でなく広く社会の不幸となる重要な問題である。母子保健推進のために医師・保健婦・看護婦・栄養士とともに,特に産科外来においては助産婦の役割は非常に大きいと言えよう。
妊娠すると情緒不安定になりやすいことが一般に知られている。初めて病産院を訪れる妊婦は不安と期待の入り交じった複雑な気持ちであることが多い。この緊張感を解きながらの問診は,妊娠各期における心身の変化について十分に把握しておかなければできるものではなく,妊婦の背景を聴取し,健康診査や保健指導上の問題点を引き出す役目を持っている。また医師による診察の介助も,単なる機械的な動作のみであってはならない。医師と妊婦の意志の疎通をよくし,よりよい人間関係が結ばれるよう心掛けなければならない。妊娠中における心身の正常な変化についての質問,例えば初期の体温上昇を微熱ということで心配する妊婦には,医師の説明を待つまでもなく助産婦が行ない,BBTの測定,見方,流産徴候についての保健指導が即座に可能でなければならない。しかし妊娠に伴う違和感についての質問や異常徴候の訴えをキャッチし,医師の診査・保健指導がよりよくなされるよう導くことも必要である。
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