特別寄稿
産科特殊外来の実際について
江口 勝人
1
,
米沢 優
1
1岡山大学医学部産婦人科教室
pp.68-79
発行日 1979年2月25日
Published Date 1979/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205496
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はじめに
産科医,助産婦など妊婦や新生児を取り扱うものにとって共通の目標,願いは,妊婦が安全に分娩を終了すること,および元気な新生児を得ることである。今日,産科管理および検査法の進歩などにより,我が国の母体死亡率は激減し,児の周産期死亡率も急速に減少して欧米のそれに近づきつつあるのが現状である。しかしその反面,high risk pregllancyと呼ばれる群における児の周産期死亡率はあまり改善をみていない。high risk pregnancyとは,直訳すれば"危険度の高い妊娠"ということであるが,明確に定義することは難しい。概念として中嶋1)は"妊娠中から周産期における間の母体,特に児の死亡,罹病を招くおそれの大きい妊娠"と要約しており,わかりやすいまとめ方かと思う。具体的には表11),表22),表33)を参照されたい。したがって,周産期異常を起こしやすく,また心身障害児発生の観点からみても,厳重な産科管理の必要なhigh risk pregnancyの妊娠および分娩管理は,依然として産科管理上重要な問題である。すなわちhigh risk pregnancyの管理上重要なのは,risk factor(危険因子)の早期抽出,異常の早期発見,早期治療であり,特に周産期におけるhigh risk pregnancy妊婦の評価,周産期異常発生予知のスクリーニングが重要であると考えられる。
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