特集 母性と保健指導と
座談会
母性喪失の社会と助産婦活動
井上 キミコ
1
,
島津 長子
2
,
工藤 孝子
3
,
斎藤 ひさ子
4
,
村松 博雄
1前:北海道豊頃町役場
2山形県立中央病院
3千葉大学病院
4九州大学病院
pp.32-38
発行日 1974年1月25日
Published Date 1974/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611204636
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地域での状況と助産婦活動
村松 きょうは気楽なお話を願いながら,たいへん重要な問題をいろいろテーマとしてお話いただきたいと思います。最近は捨て子,子殺しというようなことが言われていますし,そういうような現象から一般の人は,母性喪失とか母親の自覚がないのではないか,そうであるのに子どもを生むということはけしからん,というふうなリァクションが当然あるわけですね。東京みたいな大都会でそういう行為が非常に多いわけですから,いわゆる大都会とは違って一つのコミュニティというか,そういう機能がある地方の都会,町,村のほうでは,いろいろな批判なり,近ごろの若い者は,というふうな声があると思うんです。
ただ,捨て子,子殺しという非常に極端なケースというのは,まさに氷山の一角のようなものだと私は思います。いままでの母親像,あるいは親と子どもとの関係というようなものと違って,オヤッ,ギョッとするというようなケースが,皆さん方勤務なさっていていろいろあると思うんです。それは単に母親が未成熟であるとか,あるいは核家族であるということだけの問題ではなくて,お医者さんの足りないこともあるでしょうし,お医者さんの指導が全然届かないというふうな面もあるでしょうし,いろんな原因があると思うので,そこら辺の観察,うらみつらみも含めて,助産婦さんの立場からお話しいただきたいと思うんです。
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