特別企画 未熟児医療と看護
未熟児の退院指導の実際—車いすで生活をしている母親への指導をとおして
高梨 信子
1
1兵庫県立こども病院未熟児新生児病棟
pp.822-824
発行日 1979年12月25日
Published Date 1979/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205641
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1.はじめに
母と子の絆は出生後,自然に形成されるのではなく,母子間の視覚,触覚,嗅覚,聴覚等の感覚機能の相互作用により形成されていくものであることが,最近の研究で明らかにされつつある。そうした大切な時期に,未熟児のように出生直後より長期にわたり母子分離を余儀なくされている場合,母子関係の形成上何らかの悪影響が生じてくると考えられる。
当院の未熟児・新生児病棟でも児の弊害をできるだけ少なくし,家庭生活へよりスムーズに受け入れられるよう,児が入棟と同時に,産褥期の母親に対し,健康の許す限り早期より育児に参加させるため,母乳運搬,面会の奨励,育児指導を行っている。そして,元気になって退院した後も,電話等で育児相談が受けられるようなシステムをとっている。相談の内容はわれわれから考えると何でもないことであるが,核家族化が進み,相談する相手のいない母親にとると,非常に重要な意味をもっていることが理解できる。
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