連載 ドキュメンタリー・日本の助産婦・5
地域看護に執念を燃やし続ける—静岡県浜松市・本間梅さん
落合 英秋
pp.50-53
発行日 1972年11月1日
Published Date 1972/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611204436
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もうひとりの日本一☆ 先号で"日本一の助産婦"を紹介したが,もうひとり浜松にも"日本一"がいるという評判を東京でいくども耳にした。静岡県浜松市で個人助産院を開業している本間梅さん。人間として,一助産婦として,彼女のどこがどのようにして"日本一"なのかそこが知りたいと思った。今回の助産婦訪問は,その意味で貴重なものになるのだろうと期待しつつ,私は新幹線で東京を発った。
11月のある目曜日の午後,浜松は快晴だった。浜松駅表口の繁華街から,少しはずれた地味な路地に「本間助産院」の看板がみえた。それはかなりの年月に耐えた,さほど目立たない看板だった。それに幾星霜も飾り立てられたことのないと思える玄関と,質素かつひかえめな応接室が,実は本間さんの"人間"そのものをあらわしているのだと,私が気づいたのは,約2時間,本間さんの話を夢中で聞いての帰りしな,浜松の歓楽街を歩いて駅へ向かう時だった。そういえば,本間さんの終始ひかえめな応待ぶりも印象的だった。
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