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女性12章—執念
横山 正次
pp.105-107
発行日 1970年1月1日
Published Date 1970/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661914754
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女の持つ執念と男の持つ執念は,その哀しみによって異なる。女の,母たる宿命を背負った哀しみはよろけながらも階段を踏みしめてゆくものだし,男の,いたわりにかくされたそれには恐れとときおりの激痛が必ずつきまとう。
欲望を,女はより見返りの多いものというオブラートで,男はより浪漫の香り高いものというオブラートで包もうとする。そこには,むき出しにされた人の性があり,片方はこれだけならという,もう一方は全てか無かという,ひとの生活の縮図がある。
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