特集 全国助産婦学校学生研究論文集・3
新生児室の細菌学的検討
北村 不二子
1
,
近藤 澄香
1
,
木本 祖世子
1
1大阪大学医学部付属助産婦学校
pp.28-34
発行日 1972年8月1日
Published Date 1972/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611204396
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Ⅰ.はじめに
体温調節機能が未発達な未熟児にとっては高温の環境を与え,湿度を調節し,かつ感染を防止し,酸素投与に便利であるなどの機能を持つ保育器は,今日,必要かくべからざるものです。保育器は従来,未熟児の保育にのみ使用されてきましたが,さいきんでは成熟児でもintensive careを要するものは保育器内で看護されるようになりました。私たち看護者は保育器を取り扱う機会が多くなったわけですが,自動的とはいえ保育器はあくまでも機械であることを忘れず,観察と処置を行なうにあたり,感染防止を念頭において,できる限り清潔に留意しなければならないと思います。
現在も保育器の使用に関し,その清潔に対しては万全の努力はなされています。しかしながら,現状では消毒方法にしてもその確立したものはなく,消毒後どれだけの清潔が保たれているか,また,細菌繁殖にとっても好条件である使用中の保育器の清潔度はどの程度であるかなど疑問が多くあります。また当阪大病院分娩育児部においては,保育器は新生児室内に置かれています。ここに新生児室内環境が保育器内環境に影響をおよぼすのではないかという疑問もわきました。
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