MEDICAL SCOPE
細菌感染による新生児の黄疸
島田 信宏
1
1北里大学病院産科
pp.56
発行日 1971年11月1日
Published Date 1971/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611204270
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先月号にひきつづいて,もうひとつ新生児期の細菌感染症の話題をお話ししましょう。新生児期に細菌感染がおきると,黄疸が強くなったり長びいたりすることがあるという事実は,かなり前から知られていました。そして,私たち新生児管理者も,原因がわからないままに黄疸で死亡した新生児を解剖してみると,全身の臓器に小さい膿瘍ができていて全身の細菌感染症であったというようなことをときどき経験していました。私自身もにがい経験をいくつか持っています。ですから,黄疸が出現してきて,急に一般状態が悪くなるというようなときには,細菌感染症もあることを忘れないで頭に入れておかなくてはいけないと,いつも助産婦諸君にもいっていました。
最近,オーストラリアのメルボルンにあるロイヤル子供病院で,この新生児期の細菌感染症による黄疸の研究成績が発表になりました。この病院で出生した新生児を1年6か月にわたって検討したものです。そうすると,新生児黄疸の時期で血清中のビリルビン値が15mg/dl以上,未熟児では10mg/dl以上の症例,また,黄疸の期間が成熟児で7日間以上,未熟児では10日間以上の症例を集めて,これらの新生児の尿や血液から細菌を検出したわけです。そうすると,なんと22例も細菌感染症であることがわかったのです。
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