特集 計画分娩
「随時分娩誘導法」による計画分娩
安井 志郎
1
1安井医院
pp.23-28
発行日 1971年7月1日
Published Date 1971/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611204168
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
私は昭和31年より分娩誘導法の研究を始めたが,当時は"分娩は自然"という鉄則が厳然としており,研究のためとはいえ予定日前の妊婦を無選択に分娩誘導するというのは大変なことで,施術者側の利点が少しでも考えられる言動は認められない時代であった。もちろん「計画分娩」という言葉もなかったが,今やそれが論議が盛んなだけでなく,実用に移らんとしているのは今昔の感にたえない次第である。
さてわれわれ産科に従事するものは,分娩誘導の必要性に迫られることは珍しくない(狭骨盤,妊娠中毒症その他)が,このようなときに,いつでも安全,確実,短時間で分娩させられる方法があれば,その産科学的意義はきわめて大きいといわねばならない。私はこのような目的で昭和32年に「随時分娩誘導法」という新しい方法を発表し1)妊娠37週より予定日までの陣痛のまったくない妊婦をほぼ100%確実に分娩させることに成功した。以来しばしば成績を発表しているが2)3)4)5)8),この方法を用いれば一定時間内に自由に分娩させられるおけだから,そのまま計画分娩に利用でき,またこの方法による私の成績は計画分娩のデータともみることができるわけで,以下この誘導法を紹介し,計画分娩に使用する際の注意を述べ,さらに計画分娩の問題点を考えてみたい。
Copyright © 1971, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.