講座
随時分娩誘導法について
安井 志郎
1
,
露口 元夫
1
1国立熱海病院産婦人科
pp.34-40
発行日 1957年9月1日
Published Date 1957/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611201336
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Ⅰ.緒言
従来は,分娩予定日が接近すると,妊婦は何時分娩が開始するかと常に心配し,殊に夜間突発した場合は,助産婦・医師への連絡又は産婦の移送等に対する心労及び不安は,家族にとつても大変で,交通不便の地にあつてはこれが一層切実な問題となり,甚しい場合には手遅れのため母児の生命の危険を招来することも決して稀ではない.他方分娩介助を依頼された助産婦・医師もその時期如何に行動業務を左右される事が多い状態である.
陣痛発来以前の適当な一定日時に,確実に短時間で分娩出来,自然分娩同様安全であれば産婦にとつてその利益は極めて大であり,交通不便の地にあつては殊に重大な意義を持つと考えられる.尚,分娩を予定した一定日時に自由に行わせることは産科学の理想の一つであつた.従来,各種の分娩誘導法が試みられているが,この目的に使用し得る満足すべき方法の発表をみない.
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