特集 新生児黄疸
黄疸後の脳障害
有泉 基水
1
1日本大学医学部小児科学教室
pp.17-21
発行日 1971年4月1日
Published Date 1971/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611204099
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I.新生児黄疸チェックの必要性
ほとんどすべての新生児は生後2〜3日頃から,多少のいわゆる生理的黄疸を示し,生後7〜10日頃までその消長がみられる。時に,黄疸が1カ月位持続し,遷延性黄疸といわれるが,まったく無害性のものである。しかし生理的黄疸とされるもののなかにも,著しく高い血清ビリルビン値を示す場合があり,生理的=正常と老えることはできない。このような黄疸は特発性高ビリルビン血症とよばれて,病的黄疸と考えなければならない。
通常生理的黄疸の最高血清ビリルビン値は成熟児では,生後3〜4日に到達し,10mg/dl以下であり,未熟児では生後4〜5日で,15mgdl以下のことが多い。血清ビリルビン値と脳障害との関係は後述するが,血清ビリルビン値が20mg/dl以上になると脳障害(核黄疸)の発生の頻度は急激に高くなるところから,この血清ビリルビン値が核黄疸を生ずる危険域値であると考えられている。特発性以外に多くの高ビリルビン血症をきたす疾患はあるが,脳障害の観点からすると血清ビリルビン濃度が問題であって,その基礎疾患がなんであっても,血清ビリルビン値が20mg/dl以上であれば,核黄疸の危険性は極めて大きくなるのである。もしイクテロメーターで血清ビリルビン値が高いと推定したときには,ただちに血清ビリルビン濃度(直接・間接とも)を測定する必要がある。
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