母と子の精神衛生
精神科薬物療法と性的機能
小坂 英世
1
1小坂診療所精神科医
pp.60
発行日 1970年2月1日
Published Date 1970/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611203888
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ご存知のように現在,精神分裂病の治療においては,必ずといってよいほど薬物療法が用いられる.その際使用される薬物は,産科領域でも悪阻の防止でおなじみのクロールプロマジン(ウインタミン,コントミン)やパーフェナジン(PZC,トリラホン,トリオミン)などであり,これを産科などで使用するよりはもう少々多量に使用するのである.
さてこれらの薬物は,精神科ではいったいどういう役割りを果たすのか.これらの薬物は,精神分裂病によく見られる幻覚・妄想などの症状を直接消し去るのではない.その強力な鎮静効果によって,幻覚・妄想などの症状にもとつく不安・興奮をおさえ,その結果精神分裂病の治療の本筋である生活指導の入りやすい状態をつくり出し,その結果として症状が消失し社会生活可能な状態を導き出す端緒となるのである.また維持量投与によって,生活上の事件にけつまずきやすい患者の脆弱性を支えるのである.
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