研究
勤労婦人と妊娠・分娩
小田代 憲子
1
,
斎藤 文子
1
,
嶋田 重野
1
,
田上 章子
1
1北海道大学医学部付属助産婦学校
pp.50-55
発行日 1969年9月1日
Published Date 1969/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611203805
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昭和43年度2月16日付で発表された総理府の労働力調査の結果速報によると,昭和42年,年間平均の女子雇用者は1,000万人を超え,この数は全雇用者総数の1/3をマークしているという.社会経済の発展に伴い,共稼ぎ夫婦の増えつつある昨今,女子雇用者中に占める有配偶者の割合は著しく増加し,昭和41年には36%を占め,死離別者を含めると既婚者は実に47%と半数近くに迫っている.
このように数値からみただけでも婦人労働雇用力が現在日本産業部門に欠くことのできないものになってきていることが判る.また,従来からの「未婚,短期型」のイメージは崩れ,あらゆる産業部門にわたって活躍し,いろいろ専門分野や責任ある管理職にもどんどん進出してきているというのが最近の婦人雇用者の姿である.そのため婦人労働問題も変わってきており,有配偶者が増えていることから勤労妊産婦の保護の問題,育児の問題,家庭責任と職場生活との調和の問題などが,大きくとりあげられてきている現状である.以上のことから勤労妊産婦の保護に対する一般の認識が次第に高くなりつつあるといわれる現在,妊娠,分娩が勤労婦人にどのような影響を与えているかを一般家庭婦人と比較するとき,なんらかの差異が生じるのではないかと思いこの調査研究に取り組んだ.
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