特集 全国助産婦学校学生研究
—徳島大学医学部付属助産婦学校—先天性輪状膵の1症例について
佐井 道代
pp.107-109
発行日 1969年6月1日
Published Date 1969/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611203770
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はじめに
近年新生児学の進歩はめざましく,ことに新生児の生理・病理・水電解質代謝に関し多くの研究が行なわれています.さらに小児麻酔学の進歩,種々抗生物質の出現などとあいまって,新生児期にも成人と同様に内臓の大きな手術が可能となり従来,救命不可能と考えられていた新生児の生命が適切な治療によって救われるようになってきました.このたび,私は先天性輪状膵という極めてまれな疾患をもった患児に遭遇したことから,緊急手術を必要とする新生児疾患については,日常新生児を取扱っている私達助産婦の役割が,新生児の予後を大きく左右することを痛感しましたのでその臨床症状ならびに経過について報告します.
まずこの疾患については成書によれば,膵頭部の胎生異常によって,十二指腸が膵頭部につつまれて絞擁され,大部分は胆汁性嘔吐・腹部膨隆などの十二指腸閉塞を主徴とする疾患であるとされており,まれには総胆管を圧迫して,黄疸をひきおこすこともあるといわれている.以下徳島大学医学部付属病院産婦人科にて出生し,当院第一外科にて手術を受けた1症例を経験したので報告します.
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