婦人の目
性記事ハンランの婦人雑誌
山主 敏子
pp.57
発行日 1969年5月1日
Published Date 1969/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611203751
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このごろ週刊誌や婦人雑誌に性に関する記事が増加していることはおどろくばかりである.また映画では18歳以上のおとなだけが見ることになっている成人向き映画が37.5%を占めているが,これが露骨な性を売りものにしたピンク映画である.18歳以上などといっても,大柄な少年少女だったら,17歳でも16歳でもけっこう18歳以上で通ってしまうだろうから,そういう10代の子どもたちも,相当数がこのような映画を見ていることはたしかである.
べつに性を扱うことがすべて悪いというのではないが,問題はその取扱い方にある.性についての知識のない若い人たちが,挑発的な記事や映画で,ゆがんだ興味を持つことはおとなになってからまで禍根をのこすことになる.性をいやらしいものというふうな先入観を持つのは,若い時代にこうした低劣な読みものや映画をみせつけられた結果である.正しい性知識を適当な時期に与えられていれば,性を動物的な面からばかり受けとめるはずがない.性とは人間の最も崇高ないとなみであり,またあらゆる芸術はこれを原動力として創造されているといってもいいからである.
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