婦人の目
婦人の社会的進出の意味
山主 敏子
pp.56
発行日 1968年4月1日
Published Date 1968/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611203549
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ことしも4月10日から婦人週間がはじまる.労働省の選んだことしの運動のテーマは,"社会のよき一員として婦人の能力を生かす"である.光陰矢の如しとはよくいったもので,思えば昭和21年の春,胸ふくらませて生れてはじめての清き一票を投じた最も若い婦人有権者も,いまでは40才をすぎている.この20有余年の歩みに,男子と同じ権利を得た婦人の力が,しあわせな世の中を作るために,どれだけのことをしてきたか,反省してみるときではあるまいか.いまだに"婦人の能力を生かす"ということが,運動のテーマになるのでは,つまりまだ十分に能力が生かされていないからだともいえるだろう.
だが,たしかに最近の婦人の社会への進出はめざましい.職場に働く婦人の数は,929万人で,1966年1年間で56万人もふえている.その増加率は男子を上回っているので,現在は雇用者総数中に占める婦人の比率は32%だが,これが年々高くなって,やがては男子に接近してくるのは当然予想されることである.もうひとつ婦人労働の大きな傾向は中高年令層の増加である.それにともなって,働く有配偶婦人が増加している.その割合は,未婚53.2%有配偶35.9,離別・死別10.9となっている.つまり,働く婦人の半数近くが現在結婚している人,あるいは経験者ということになる.
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