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助産婦教育(母性保健学校)における教育課程(試案)
勝島 喜美
1
,
高橋 とし子
2
,
菊地 君枝
3
,
太田 盛子
4
,
上垣外 喜久子
5
,
水野 みちよ
6
,
内藤 和子
7
,
三井 政子
8
,
松本 瞳
9
,
坂元 喜代子
10
1国立公衆衛生院看護学部
2福島県立医科大学附属病院
3小川赤十字病院
4東京医科歯科大学附属病院
5日赤産院
6東京大学医学部付属病院
7東京都立公衆衛生看護学院
8岐阜県庁
9聖バルナバ助産婦学校
10鹿児島大学医学部付属病院
pp.10-14
発行日 1969年5月1日
Published Date 1969/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611203742
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I.はじめに
現在の助産婦業務は,妊娠,分娩,産褥期における保健管理にのみ視点がむけられている.しかし近年急速に保健,医療,看護の概念は進展拡大して思考され,実践されつつある.すなわち,母性—思春期,成熟期,更年期—を一貫して生物学的にとらえると同時に,社会的心理的に総合してとらえた全人間である母性の,あらゆる健康のレベルにおける援助行為である.また,母性看護は母性機能の特徴からみて,その小児と一身同体のものであり,単に母性のみの看護ではなく,二世代以上につながる看護であるといえよう.
近年,中学校,高等学校教育においても母性保健関係の教育内容は充実されつつある.また看護婦教育においても前に述べたような概念が強調されて母性看護学が教育されつつある.しかしながらこれは看護学の向上にともなう進展であり,基礎看護学のレベルである.進展する社会,科学の発展にそって,基礎看護学の上にさらにそれぞれの専門看護学を深く教育・研究する体制の必要があろうと考えられる.本研究はこのような意図のもとですすめてきた.しかしながら,同じ学名ではわれわれの思考上の発展に支障があるので,「母性保健学」と仮称した.「保健学」とは,いまだ学問としての歴史も浅く,定義もしっかりと確立してはいないようであるが"医学・社会学・心理学等の関連諸科学を総合して,健康を主眼におく「健康の科学」として体系化を急いでいる"という考えを引用して「母性保健学」とした.したがって母性保健を教育,研究する学校教育という意味で"母性保健学校"と仮定した.
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