特別寄稿
これからの母子保健—神奈川県の母子保健対策
須川 豊
1
1神奈川衛生部
pp.15-19
発行日 1969年5月1日
Published Date 1969/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611203743
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はじめに
わが国の母子保健は,終戦後から関係者によって新しい展開が試みられた.そして概ね文明国なみに向上しつつあるが,まだ不十分である,特に行政施策はいろいろ出されたが,全体として効果のあがるようにできていないので,関係者が苦労するだけの成果があがっていない.
私は従来から,効果的な母子保健対策をやってみたいと思っていたが,昭和39年になって立案に着手する機会に恵まれた.そして体系的な母子管理対策を立案したが,母子保健法制定のごたごたに災いされて果せなかった.昭和40年になって,別の方法で母子保健を推進してみようと考えたのが,「不幸な子どもの生れない施策」である.幸い兵庫県勤務の好条件にめぐまれて,一応の体系を確立し得たのである.その後兵庫県では,知事を先頭に関係者の理解と協力によって推進されつつあり,全国各地でも,その地域にふさわしいやり方で動きはじめているようである.そして神奈川県に赴任して約2年有余,この県で実施するのに適当だと思われる取りくみ方で,母子保健対策を展開しようとしているのである.これは私にとって第3回目の試みである.
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