特集 全国助産婦学生研究
—岡山大学医学部付属助産婦学校—家族計画における一般人の関心
上山 優美子
,
三宅 尚子
pp.77-82
発行日 1967年5月1日
Published Date 1967/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611203400
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
1.緒論
戦前戦中を通じわが国においては,産めよ,増やせよのスローガンのもとにほとんど無計画に近い形で,出産率の上昇が叫ばれてきた.そのため個人の見解のもとに,子弟の教育,家庭生活のあり方などを考える人々の少なかったことが,わが国の国民生活の実態であったといえよう.ところが終戦とともに個人の自由の解放が大きな転機となり,家族制度の変革が行なわれたため,戦前とは全く変った形の社会制度が成立しつつある.これに加えて,戦後,性の解放は,良かれ悪しかれ多くの問題を惹起し,加えて優生保護法の改正に伴い,野放しに近い妊娠中絶の増加は将来わが国の母体保護の面から見ても,家庭生活のあり方自体についても,さらに大きくは,人命尊重という見地から考えても,大きな社会問題を提起していると思われる.しかし一方において,若い世代の人々の中に健全な家庭を作ることについて,計画的な考え方を重要視しようとする傾向も芽生え,また多くの書物,雑誌などによっても啓蒙運動が進められてきつつある.そこで私たちはこうした若い世代の者および現在家庭生活を営んでいる人たちが,家族計画という事柄について,どのように認識しているか,あるいはどのように実行しているかを知るとともに受胎調節の方法についての実態を知ることは,今後助産婦活動をする上においてなんらかの参考になり,また家族計画指導を押し進めるための一つの方法を見い出すことにもなると考え,この調査を行なった.
Copyright © 1967, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.