研究
最近における臍帯脱落日の遅延について
冨沢 ふさ子
1
1横浜逓信病院産婦人科
pp.9-11
発行日 1959年3月1日
Published Date 1959/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611201637
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普通の場合,新産児が生れると臍帯搏動は数分間で停止し,助産婦はこの停止をまつて臍帯の結紮切断を行う.そして,新産児に残つている約2cmの臍帯は,生後第5日前後で乾燥萎縮して自然に脱落し,臍の脱落面は清浄となつている.従つて,新産児が退院する生後第7日目には90%以上のものが臍帯脱落し,正常の臍となつて退院するのが普通である.然るに,当院に於いては本年始め頃より,退院日に至るまで臍帯の脱落せざるものが著しく増加してきたので,過去約5年半の新産児1211名について,各年度別に,臍帯脱落日を調査した.調査の対象としては正常新産児,異常新産児に別けて,昭和28年29年2カ年間分娩数が少ないためにひとまとめにし,其の後1年毎に調査した.異常新産児の内容としては,死亡児を除き,体重2500g以下の未熟児,発熱児(38℃以上)黄疽強度,仮死強度,嘔吐強度(1日5〜6回の嘔吐)奇形児,双胎児,ケイレンを起す児チアノーゼが時々ある児,高度妊娠中毒症の児,ワ氏反応陽性児等を異常新産児として取扱つた.
第1表に示すが如く,正常新産児,異常新産児共に,不落のまま退院するものが多くなつて来ている.第2表は,臍帯脱落日の逐年的調査であつて,脱落例と不落例とに分けてある.
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