新春特集 母性看護をどう考えるか
医師と助産婦の心のかよったチームワークこそ大切
久保 博
1
1国立東京第二病院産婦人科
pp.25-28
発行日 1967年1月1日
Published Date 1967/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611203325
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母性看護といってもその意味する範囲が広く漠然としているので,何を重点的に述べようかと考えましたが,まず頭に浮んだのは先般来文部省において研究されてきた,看護学校教授要目の中の専門教科目の一つである母性看護の項目であります.その説明をみますと母性看護の目標は妊産褥婦の保健指導,分娩介助,新生児の保健指導のみでなくなお広く思春期よりの健康と福祉の増進,家庭や社会生活のあり方など主婦としての責任や,母親としての心構えまで指導し,さらに結婚をひかえたものには妊娠分娩のほかに不妊症のことや家族計画などの予備知識をもたせることを目的としているようです.
しかしこれは看護婦を対象としているのですが,助産婦を対象とした場合はどう考えるべきでしょうか.看護婦と助産婦の業務内容あるいは業務範囲のちがいは量的の差のみであるのか,質的の差もあるのであろうかという疑問もおこるのでありますが,当局の解釈によりますと看護婦には母性看護というものを総合的に広く理解させ,助産になるとさらに専門的に深く学ばせるのであると考えているようであります.要するに助産婦でも看護婦でも母性看護にあたっては本質的のちがいがあるわけでなく,業務範囲なり業務程度に差があるのであって,いいかえれば助産婦は看護婦より医師の指示を受けずに自己判断で行動する範囲が広くかつ深いというわけです.ですから助産婦の立場からの母性看護もこのような意味から検討すればよいわけでしょう.
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