らいぶらりい
—田中於蒐弥訳—鸚鵡七十話 インド風流譚
杉浦 衛
pp.46-47
発行日 1966年10月1日
Published Date 1966/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611203279
- 有料閲覧
- 文献概要
「鸚鵡七十話」というのは,12世紀から,14世紀ころ,すでに当時知られていたインドの古い話しであります.もちろん,作者などは解っておりません.しかも,のちの人々が,面白い話があると,かってに置きかえたり,少しずつ作り変えたりした物語集であります.
この説話集の大すじというのは,本書の「はしがき」に次のように書かれております.「商用で旅に出る商人マダナセーナは,家に残す愛妻プラバーヴァティーのことを賢い鸚鵡に托して出発するが,彼女は王子に見染められて心が動揺し,夕方になると媾曳に出かけようとして鸚鵡に相談する.すると鸚鵡はさまざまの窮境に陥った話をし,その解決ができるなら出かけてもよいという.彼女がそれを考えているうちに夜が明けると,鸚鵡はその解快の方法を語り,かくて七十夜を過ごし無事に夫を迎える.」というのでありますが,なかには,童話風な動物寓話や,遊文の話もあり,さまざまです.
Copyright © 1966, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.