インターホン
健康保険の改正に思う
平田 純子
1
1国立舞鶴病院
pp.45
発行日 1966年10月1日
Published Date 1966/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611203278
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赤字になやむ健康保険もその打開策としてこのたび,保険料金の値上げが審議され,本年4月から決定したようです.ある新聞の社説欄にこの改正に残された問題として,赤字をうめることのみを考え医療費のムダをなくし,使い方を合理化するという支出面の改善には,いまだ有効な手が打たれていないこと,また急増する医療支出の中身にメスを入れずに放置して,赤字のアナ埋めをめぐって政府と支払側が対立抗争を続けていると述べてありましたが,ほんとうにそのとうりで,いつの場合でもなんとなく片手落ちのような気がいたします.なんら医療費負担軽減に対する解決策を講ずることなく,いかに保険料金の値上げのみを実施しても,この問題はいつになっても解決しないものと思われます.
現在の医療制度は保険を使用した場合,患者は自分の治療費がどういう状態でどれだけのものを使用されたか全然知らない場合が多いと思います.自分の治療費として不当に多額な請求がなされてもわからない状態で,改正のつど値上げが実施されるという悪循環が続けられていますが,これは国の負担として大いに考慮すべき問題だと思います.
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