分娩体験記
一瞬に消える分娩の苦痛—2度の分娩を体験して
赤塚 節恵
1
1日赤中央病院
pp.42-43
発行日 1966年10月1日
Published Date 1966/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611203277
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□□分娩よりつらかった妊娠後半期
息子は満2歳,娘も早や9カ月をすぎた今,ふりかえってみますと,どちらも妊娠中のつらさの方が大きかったように思えます.産休に入る1カ月半も前から,発熱,嗽咳発作が原因で休暇をとり,引き続き中毒症の診断で休んだことを考えますと,2回目は,1年過ぎたばかりの子をおぶって,産休の日までみんなと同じように勤めることができたのですから,2回目は楽だったといえると思いますが,今度こそは「並みに勤めたい」と願い夢中でした.匂いに敏感になり,ご飯が喉を通らなかつたのも2週間くらいで,いつも主人が「ゆっくり食べるんだよ」と話をしながら食べてくれました.そんなわけでほとんどわからぬうちに"つわり"の時期は過ぎましたが,4カ月目より下肢に浮腫が出現し,月数とともに次第に強まって,通勤時の階段の昇りは,3,000メートル級の登山をする思いで,昇り終ったときは,下肢がジンジンしてしばらく前に足が進みませんでした.塩分,水分の制限をしたため,疲労感も大でした.幸い蛋白,血圧は異常なく過しましたが,6カ月末,発熱と嗽咳で休み.そのまま産休に引き続いてしまいました.7カ月より分娩まで嘔吐と眩暈が続き,9カ月に入ってから下肢の浮腫は強度となり,主人は「象の脚気」と名をつけました.
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