研究
わが教室産科における異常分娩について—その統計的考察
古賀 千鶴子
1
,
佐々木 裕恵
1
1九州大学助産婦学校
pp.49-52
発行日 1966年6月1日
Published Date 1966/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611203213
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I.はじめに
厚生統計局発表の「国民衛生の動向」によると,昭和38年のわが国の出生率は前年度の17.0から17.2とわずかの上昇をみ,乳児死亡率は23.2と戦後最低率を示していた.そして乳児死亡の原因として,1.新生児固有の疾患,2.肺炎および気管支炎,3.先天奇型,4.出生時の損傷,分娩後窒息および肺拡張不全となっている.また死産率は95.7と低下の傾向にあるが,その原因を妊娠8カ月以降の分娩からみると,自然死産,人工死産ともに,難産,胎盤および臍帯の異常,妊娠中毒症などが大半を占めている.さらに児の周産期死亡率は妊娠,分娩時の母体の状態が胎児におよぼす影響の指標として意義があるが,38.7と低下しているものの,先進諸国と比較するとなおはるかに高率を示している.次に妊産婦死亡では,1.妊娠中毒症,2.出血,3.子宮外妊娠が全原因の3/4を示している.これらの統計からそれぞれの数値をながめると,新生児および妊産婦死亡は逐年低下の傾向にあるとはいえ,異常分娩による死亡がその最大要因であることは疑いない.そこで私は教室産科の異常分娩の統計的考察をしてみたいと思い以下述べる調査を行なった.
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