連載 育児相談(最終回)
よく出会う病気や異常の相談
高口 保明
1
1神奈川県立栄養短期大学
pp.49-52
発行日 1965年12月1日
Published Date 1965/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611203098
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はじめに
とうとう最後の月になりました.長い間お読みいただいた方がたに改めてお礼を申上げたい.まだ書き残した点や言葉足らずの点が多いが,今月は皆さん方が,日常の育児相談でよく出会う疾病異常についていっしょに考えてみよう.
病気と名がつけば,その取扱いはもちろん医師の領分である.医師がそれに対してどのように診断,治療し,また説明しようと,それは皆さんの関与するところでよい.これは守らねばならない職業上の義務やエチケットである.しかし,親たちが子どもの病気や異常で思い煩い,皆さんに相談に来た時,「私は何も知りません.私に関係のないことです」と背を向けることが正しいかどうか.少なくとも宮沢賢治でなくても,東になげくお母さんがあれば「それはこわがらなくてもいいです.だいじょうぶですよ」といい,西に迷う母があれば,「お医者さんの指示通り治療を続けなさい」と励ますことは大切な務めと思う.しかし忘れていけないことは,その際母親たちが皆さんに相談をかける根本の理由は,不安と迷いを解いてほしい.--かくかくしかじかやっているが,これでよいかどうか教えてほしい,ということであって,けっして治療してほしいとか診断してほしいとかいうのでないことを,十分理解していることである.
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