連載 育児相談・8
排泄に関する相談(1)
高口 保明
1
1神奈川県立栄養短期大学
pp.49-52
発行日 1965年8月1日
Published Date 1965/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611203029
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排泄のしつけに関する問題は,日本では割合少ないが,欧米では育児上いろいろとむずかしい問題を提供しているようだ.このような差異がおこる原因を文化の差に求め,欧米人は清潔を強く要求し,大小便を気も狂わんばかりに忌み嫌うが,日本人はそうでないから問題が起こらないのだと,書いている学者がいる.いわれてみるとそうとも思える.
われわれはつい最近まで屎尿を肥料に直接使っていたし(欧米は推肥厩肥)赤ちゃんの世話をする母親は大小便の汚れにそう神経質でない.「父母恩重経」というお経に,父母は子の屎尿を何回か食らうし,子がおねしょをすれば,子は乾いた所に移し,おのれはその濡れたところに臥し,朝までに乾してしまうという意味のことを書いてあるが,永い間,われわれの父母は,そのような伝統に生きてきたようだ.われわれは少なくとも便所に特別な悪感情をもたないし,子供の大小便を甚だきたないとも思わない.おむつを取り替えても手を洗わない母親が多いし,お尻やカバーにうんこがついているのに平気な母親もいる.
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