調査レポート
経妊初産婦と初産婦の比較検討—人工妊娠中絶あとの出産をめぐって
中島 唯夫
1
,
稲野辺 よし
2
1日赤本部産院産婦人科
2日赤本部産院産婦人科分娩室
pp.18-26
発行日 1965年5月1日
Published Date 1965/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202966
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はじめに
人口の異常増加をおさえるために,最も安易な方法として人工妊娠中絶が法的にある種の制限のもとに許されるようになって,すでに20年経過したが,その制限も非常にあいまいで,今日中絶はほとんど野放図に実施されている観がある.人工妊娠中絶による偶発事故というか,術中にすでに見られるものに,子宮の穿孔,頸管の裂傷,出血等があり,これに続発的に子宮内膜炎,血栓性静脈炎,過度掻爬による子宮内膜の形成不全,そしてしばしば遭遇するものとして人工妊娠中絶後の不妊,流産,早産があり,とくに近年頸管閉鎖不全の発生がうんぬんされている.
このような人工妊娠中絶術中,術後の障害が本手術方法から考えても,とくに未産婦においては,頸管の拡張に当って拡張器でただちに行なわれる場合,組織の断裂を招くおそれが大きいと考えられ,その他の障害が発生しても以後妊娠の成立機転に大なる影響を与えることを考慮すると,人工的に不妊夫婦をつくり出すことにもなる.
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