母性保健対策について

はじめに

　健全な母性は，児童の健全育成の基盤であり，健康で文化的，倫理的な家庭生活のカナメとなるものである．したがって先進諸国では母性の保健保護については法的なうらづけをもって保障しているところが多い．

　わが国においては，昭和23年，児童福祉法の施行により，母子保健指導の基本的方向が打ち出されたが，その中での妊産婦に対する保健指導は，健全な児童を生み，育てることを目的として行なわれているものであって，母性の保健ないし保護を第一義の目的として行なわれているものではなく，したがって，内容において逐年実現する具体的施策も，児童の保健，福祉対策に重点がおかれていたきらいがあった．