講座
栄養と先天異常
村上 氏廣
1
1名古屋大学環境医学研究所病理胎生部門
pp.20-23
発行日 1964年11月1日
Published Date 1964/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202861
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昔は疫病として最もおそれられていた伝染病も,医薬学の進歩とそれにともなう公衆衛生施策によって,かつて恐れられていたほどではなくなった.ただ今では,癌や,心臓,血管の疾患が注目されている.ここ十数年来次々にあらわれる向精神薬も精神病の治療が研究されていることのあらわれである.ところが,かような医学の進歩にとりのこされたものに遺伝病と先天異常がある.合衆国の1910年から1953年にいたる統計をみても,伝染病ことに急性伝染病による乳幼児死亡はだんだん減少し,それと反対に,先天異常による死亡率は増加している.またわが国でも,先天異常(奇形)の絶対数もわずかながら上昇の傾向がある.
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