講座
小児外科の現況
守屋 荒夫
1
,
田村 重宏
1
1東京都立清瀬小児病院外科
pp.24-27
発行日 1964年11月1日
Published Date 1964/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202862
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小児の外科的疾患を取扱う小児外科という新らしい分野が一般外科の中から分離して来たのは,欧米の一部では,かなり以前からでありますが,わが国においては,近々7〜8年前からにすぎません.米英の大都市では,小児専門の総合病院が百年ほど以前から存在していますが,日本においては,完成された小児病院というものはまだ1か所もなく,現在東京に建設中の国立こども病院が出来ると初めての小児総合病院となるわけであります.
従来日本では,小児の外科的疾患は,一般外科医の手により小児の特殊性を考慮されることもなく,成人患者にまじりそれらとまったく同様な治療を受けていたに過ぎません.したがって治療成績も悪く,新生児の重症奇形のようなものはほとんど外科医の手に渡らず,根本的治療を受けることもなく,放置されるに等しいという状態でありました.
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