Medical Box
モスクワの美容医学研究所
北上 幸雄
1
1ノーボスチ通信
pp.53
発行日 1964年8月1日
Published Date 1964/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202815
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モスクワのゴリキー通り(銀座通り)をゆくとモスクワっ子が「美容研究所」と呼んでいる美容医学の研究所がある.所長はアントニーナ・アハバッゼ女史で医学者であり,所員であるお医者さんは若さと美しさを保つ美容医学の研究者である.ここは純然たる医学的研究の研究所で,外科や物理療法科そのほかが付属している.医長はすべて専門家で教授と呼ばれる人たちである.プラスチック整形外科では有名なワルタン・アルトゥーノフ教授のような権威者がいる.研究所の基本的な仕事は外国の美容院でしばしば行なわれるような皮膚を美しくするための表面上の処置や治療を行なうことばかりではなく,人体のオルガニスムの全体に効果的である方法を研究することである.たとえば皮膚や毛髪の美しさをよみがえらせるためには食餅療法そのほかオルガニスムの弱い箇所から治してゆくのである.
患者の訴えをきくと,まず第1に全般の健康状態が診断され,精密検査をひとわたり終った後に治療のコースがきめられる.研究所の医師たちはこの過程を,美容上の成功因の基として考えているのである.顔面の炎症には物療,皮膚科そのほかの専門医がそれぞれ患者のようすをきき綜合的な治療がとられるのが普通である.
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