研究
妊娠中毒症の外来治療について—第3報 新生児生下時体重
藤田 長利
1
,
茂田 晃代
1
,
池田 照子
1
,
吉村 洋子
1
1長崎原爆病院産婦人科
pp.41-44
発行日 1964年5月1日
Published Date 1964/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202759
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まえがき
先に第1報第2報で,妊娠中毒症の治療方法および外来における中毒症の頻度などについて研究成績をのべたが,今回は新生児生下時体重の変遷,特に中毒症妊婦より生まれた新生児について,報告したいと思う.最近,新生児生下時体重は増加しているのではないかといわれ,じじつ私たちは日常分娩に立ち会ってそのことを痛感するのであるが,福居らの研究によると,男児が3,130g女児3,070g前後で,過去のわが国新生児の平均生下時体重を,はるかにうわまわっている.元来,新生児生下児体重は,一般に人種,季節,妊娠の期間,母体の年齢,母体の経産回数,新生児の性,父母とくに母体の体格,体質とくに体重,身長,その他社会的,経済的環境に左右されるといわれているが,最近の体重増加の真因は,福居の研究によると,わが国民とくに妊婦の栄養摂取状況の好転が一大原因であるといわれている.すなわち,妊娠時の栄養改善の結果にほかならないわけである.しからば,幾多の栄養制限を当然受けるであろう妊娠中毒症妊婦の新生児が,他の正常妊娠に比して,果たして生下時体重の面で,劣るものであるかどうか,多くの問題を残すわけである.もし劣るとすれば,いかにして防ぐべきであるか,私たちの指導いかんに負うところが大であると考える.ともあれ,生下時体重が増加の傾向にあるとはいえ,未熟児の出生は今なお多く,その原因の一つとして,妊娠中毒症があげられている.
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