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筋腫を有する高年初産婦の経過
藤田 長利
1
1長崎原爆病院産婦人科
pp.54-56
発行日 1964年3月1日
Published Date 1964/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202724
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1.まえがき
子宮筋腫と不妊症とは,元来深い因果関係にある.一般婦人の不妊症頻度は,約10%前後であるが,筋腫を有する婦人の不妊率は,20〜30%の高率とされている.その原因は子宮自体の形態的異常によるということが従来の定説であるが,近時三谷教授(長崎大学)は筋腫子宮の卵管が炎症性変化を起していることが多く,これが不妊の重大な原因になることを,組織学的に立証した.かように,子宮筋腫に妊娠を合併するのは比較的少なく,およそ,0.5%〜0.6%とされているが,この場合問題になるのは,筋腫が妊娠,分娩,産褥に,また逆に,妊娠分娩産褥が筋腫に,お互にい影響を与える相関関係にあることである.私は最近,高年初産婦において,子宮筋腫に妊娠を合併し,妊娠中に筋腫の増大を認め,かつ,高度の妊娠浮腫を併発し,腹式帝王切開分娩にて生児を得た1例を経験したので,報告したい.
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