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英国の助産婦・2—その教育と活動
我妻 堯
1,2
1東京大学医学部産婦人科教室
2現在:英国HAMMERSMITH HOSPITAL産婦人科
pp.24-27
発行日 1964年3月1日
Published Date 1964/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202713
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助産婦の業務
(1)病院助産婦
前号で述べたように英国の分娩は病院と自宅と少数のG. P. Unitの3つに大別されるから,助産婦もこの3か所で働くものがいるわけである.病院助産婦とG. P. Unitの助産婦では後者が正常分娩例しか関係しない点を除き,大差がないので,ここでは病院に働くものと自宅分娩を介助する地区助産婦とについて述べることとする.
この両者には資格の上で何も差はなく,助産婦であればいずれの職につくこともできる.この国は比較的自らの仕事の範囲を守るということが徹底しているためか,正常分娩は原則として助産婦に全責任がまかせられ,医師との間に摩擦はないとのことである.助産婦,看護婦の社会的地位は医師と同じく高く,主任級のものになると,なかなか見識のあるお婆さんが多い.ナイチンゲール発祥の地でもあり,宗教的背景と長い伝統から助産,看護という女性の職業がうまれて来たという歴史的事実を痛感させられる,病院には一般の助産婦,看護婦(Staff MidwifeおよびStaff Nurse)の上にSisterという地位があり,当人の学識,経験,技術,人格などに基づいて総婦長(Matron)資格をあたえるもので,日本の病院の婦長ないし病棟主任にあたる.病棟のSisterはその病棟の患者個々について,よく知っており,入退院,看護内容,助産看護要員の勤務配置などの責任をもつ,忙しい病棟には2人いることもある.
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