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英国の助産婦・1—その教育と活動
我妻 堯
1,2
1東大医学部産婦人科教室
2現在:HAMMERSITH HOSPITAL産婦人科
pp.17-19
発行日 1964年2月1日
Published Date 1964/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202691
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緒言
昨年8月末にロンドン大学附属病院の一つ,Hammersmith Hospital産婦人科に留学して以来約1年,従来英国の産科の様子があまり日本に知られていなかったので,気をつけてこの方面を少ししらべて見た.ここでは主として,英国の分娩取り扱いの制度,組織,ことに助産婦の活動内容や教育制度について述べてみたいと思う.この調査にあたって政府の助産婦監督機関であるCentral Midwives Boardに行った時,「終戦後,米軍が日本のいろいろな制度の手なおしを試みた時に,助産婦制度だけは米国にないので英国に問い合わせて来たが,その後どうなっているのだろうか」と逆に質問された.後に述べるように日本の現在の助産婦学校制度は英国のそれと似ているところが多いから,あるいはその折の英国の回答を参考として作られたのかとも思う.これは当事者の方にお聞きすればわかることであるが,戦後は何かにつけて日本と米国との関係が密接であり医学界も研究,教育など,すべての面で米国の影響をつよく受けつつある.病院数が増加し所謂施設分娩が自宅分娩に比して急増していることもその一つかも知れない.ただし米国には助産婦の制度がないから,今後の日本の分娩制度のあり方,すなわち病院分娩を出来るだけ増加させるか,ある程度家庭分娩をのこすかなどの問題に関し,米国の事情はあまり参考にならないであろう.今日の日本の助産婦制度は色々な点で困難な問題に直面していると思う.
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