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助産婦からみた産科における硬膜外麻酔
涌井 アキノ
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1日本専売公社東京病院産科
pp.36-37
発行日 1964年3月1日
Published Date 1964/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202716
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最近,当院産婦人科では硬膜外麻酔を無痛分娩あるいは帝王切開手術時の麻酔法として採用して,非常に良好な結果を得ておりますので,私はここに本法施行の際の助産婦としての観察,注意あるいは介助の行ない方などについて述べてみたいと思います.
昔からお産の苦しみは女であれば,当然経験すべき生理的なもの,宿命的なものであって,その苦しみに耐えてこそ母親としての資格が得られるものと一般に考えられていました.産科における麻酔の歴史を調べても約100年位前までは分娩の苦痛に対しては,あくまでも自然のまま,すなわちほとんど無麻酔の状態であって,まったく科学的な苦痛軽減法は行なわれていなかったのです.しかるに,その後医学に関する全般的な水準が向上するにつれて分娩の苦痛より産婦を何とか解放しようとする試みが行なわれるようになり,麻酔分娩時代と名づける新しい産科学の一部門が進展してきました.
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