研究
ラテックス凝集反応(トキソテスト-MT)によるヒト血清中のトキソプラズマ抗体の検査成績
近藤 力王至
1
,
大西 義博
1
,
吉村 裕之
1
,
赤尾 信明
1
,
坪田 宣之
1
,
室井 早苗
1
Kaoru KONDO
1
,
Yoshihiro OHNISHI
1
,
Hiroyuki YOSHIMURA
1
,
Nobuaki AKAO
1
,
Noriyuki TSUBOTA
1
,
Sanae MUROI
1
1金沢大学医学部寄生虫学教室
pp.47-50
発行日 1983年1月15日
Published Date 1983/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401206642
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著者らはラテックス凝集反応によるトキソプラズマ抗体保有状況について,1976年4月から1981年3月までの5年間に,当教室に検査依頼された血清1,184件のうち初回分932名のものについて検査し,次に示す結果を得,若干の考察を行った.
1)検査依頼血清932名中236名(25.3%)に1:25≦の陽性抗体価を示し,対照群とした20歳代の健康女性398名中36名(9.0%)の陽性者率との間に明らかな差を認めた.これら血清の計1,330名について各抗体価別の該当者数の分布をみると,1:25を谷とする2峰性のパターンを示した.
2)本学附属病院内各科,関連病院および関係機関別に抗体保有状況をみると,屠場関係者に最も高く,陽性者率は39.1%,ついで内科38.2%,外科37.5%,関連病院36.0%,眼科27.5%,農協共済連20.0%,産婦人科16.1%,小児科15.2%の順であった.
3)妊婦170名の抗体保有状況は29名(17.1%)であった.一方,妊娠月齢ごとの抗体価保有状況ならびに平均抗体価をみると,対照群とほとんど差はみられなかったが,陽性者率では3または4ヵ月(25.0,26.1%),平均抗体価では3ヵ月(1:22.9±2.8)のものにやや差がみられた.しかし妊娠月齢が終齢に近づくに従って,ほぼ対照群との間に差はみられなかった.
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