巻頭随想
助産婦としてのほこり
伊藤 光雄
1
1国立東京第一病院産婦人科
pp.9
発行日 1962年11月1日
Published Date 1962/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202428
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近ごろの若いものはと年配者が口にするときは,多くはそれに続いて,何かと非難めいた言葉がでるものですが,いやどうしてどうして,近ごろの若いものにはむしろ感心させられることの方が多いようです.これは私どものように,若い生徒さんやインターンの方たちと接する機会の多いものに,とくに痛切に感じられることかも知れませんが,いつも同じ年ごろであつた自分を顧みては,いまの若い人が優秀であることに驚きます.
助産婦さんにしてもそうです.毎月発行される本誌をみてはいつも感じることですが,若い方の研究態度の立派なこと,研究意欲の旺盛なことは,グループ研究発表その他で誌面にはつきりとでています.産科ばかりでなく,小児科をはじめ多くの隣接した領域の新しい論説や知見が,ずいぶん広く深く紹介されているけれども,これらをずんずん理解し吸収していくのですから旧制度の助産婦の時代から思うと全く隔世の感があります.旧制度のころ,母校の東大の助産婦復習科で,ここは助産婦の指導者を養成するところだからと,有名な磐瀬先生や白木先生の産科学書を教材に,医学生に対するよりもむしろ熱心に講義をし,生徒さんもそれにこたえてよく勉強してくれたことを思い出しますが,なんといつても,いまの方は基礎がしつかりしているから,その理解力も一段と深くなつているわけです.
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