講座
産科麻酔とその看護
西邑 信男
1
,
川村 満元
1
1日本医大麻酔科
pp.14-17
発行日 1962年7月1日
Published Date 1962/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202364
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分娩に伴なう苦痛を除く方法として,スコットランドのSimpson(1811〜1870)がクロロホルムによる開放点滴吸入麻酔法を分娩時に使用したことに始まつた無痛分娩法は,その後麻酔医学の発達に伴なつて進歩してきたが,ごく最近になつてはじめて本格的な体制の上に行なわれるようになつた.無痛分娩法は分娩に伴なう苦痛を除くという単なる介補法ではなく,産科学,麻酔学はいうにおよばず,その他全くの医学能力を発揮し,二つの生命を分娩中,最も安全に快適に処理しようとする文化的な意味があるのである.したがつてその方法にも薬剤を使用しないで,いわゆる産婦の産痛に対する精神的諸因子を好転させるような精神予防性無痛分娩法,催眠術,あまり麻酔の知識を必要としない陰部神経麻酔法,および全身麻酔,局所麻酔,鎮痛剤投与などあり,これらの麻酔法にて,各症例にまた分娩経過中に最も適した方法を選択し併用しているのである.
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