特集 新生児と未熟児の問題
未熟児の産科学的考察
井上 康
1
,
望月 真人
2
,
玉木 健雄
3
,
松永 剛典
2
1神戸医大産婦人科
2大学院
3神戸医大小児科
pp.40-44
発行日 1962年4月1日
Published Date 1962/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202307
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まえがき
この数年来,未熟児対策はわが国母子衛生行政の中心課題となつてまいりましたが,しかしその多くは未熟児の哺育養護に主眼がおかれ,いちじるしい進歩をみるにいたつたとは申せ,成熟児の生理的発育状態にまで達せしめるには今日なお,多くの困難な問題を残しております.しかしながら生まれた未熟児対策にのみ専念することは,あたかも水害の原因である荒れはてた上流の河岸対策を行なわずに,毎年出水のたびごとに,土俵を積み上げるに似て,果てしないことであります.したがつてわれわれ産科医並びに助産婦にとつてまず未熟児の出生予防に対して万全の処置を講ずることが何よりもたいせつなことであり,また当然の責務でもあります.このような見地から,われわれは昭和31年7月から35年6月までの満4年間に本学未熟児センターに入院した未熟児633例について,その出生をめぐる産科的諸因子について検討し,あわせてその個々の対策についても考察する機会を得ましたので,ここにその概略を述べます.なお,本文中の未熟児とは,生下時体重2500g以下の生産児のことであつて死産児は含んでおりません.
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