レポート
燕市母子健康センター設立の経過と利用状況
柳原 正明
1
1新潟県燕市役所
pp.25-28
発行日 1961年8月1日
Published Date 1961/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202177
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母子の健康を増進することは,家庭の幸福であり,国家繁栄の礎であると思います.
母子健康センターは,お母さんと子供さんの専門の施設で,助産事業を主としておりますが,分娩前後の健康相談や助産,妊産婦および乳幼児の保健指導,受胎調節指導,栄養指導,母親学級の開催などを行う総合的な母子保健施設であります.34年11月予算約370万円で着工し,35年4月1日から開院して現在に至つております.ここに設定の経過と利用状況について,率直に申し上げ皆様方の御批判を仰ぐ次第であります.
まず,第一に開設の経過と目的を申し上げます.新潟県燕市は昭和29年町村合併により新市誕生を見た人口37,547人,世帯数7,386で,金属洋食器で名高い中小工業地であると同時に,越後平野にかこまれ農業もまた盛んであります.従つて労働力の供給は婦女子に依存する面が大きく,結婚適齢期および結婚後の健康保持に特別の対策が強く望まれておりました.加えて近郷町村からの通勤者は毎日約4,000人を数え,逐次当市内に世帯を持つ傾向にありますので住宅不足は甚だしく,ややもすれば最も大切な母子衛生面へ,しわよせされる状態でありました.しかるに当市は公的医療機関としては,僅かに郵政省の簡易保険診療所のみで,開業診療所のほかは母子衛生施設がなかつたので,厚生省が推進しております母子健康センターの設立認可申請を県衛生部へお願いした次第であります.
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